183日ルールは正式には短期滞在者免税と言います。短期滞在者免税は租税条約で規定されており日本と香港は租税協定を締結しています。
従業員の給与に対する課税権は、原則はその従業員が役務を提供した場所(勤務した国)にあります。ただし、それを厳密に適用すると短期で海外出張をする従業員は個人所得税の申告が大変になってしまいます。
そこで、一定の条件を満たす場合には出張先の国での課税が免除できるようにしたのが短期滞在者免税になります。その条件の一つに「183日以内の滞在」があり、183日ルールと言われています。
短期滞在者免税の条件
次の3つの条件を全て満たす必要があります。わかりやすいように日本から香港に出張に来たケースで考えます(日港租税協定第14条)。
1. 香港での滞在期間が連続する12ヶ月で合計183日を超えないこと
2. 給与の支払いが日本法人から行われていること(香港法人から支払われていないこと)
3. 日本法人が香港に保有するPEによって給与が負担されていないこと
わかりやすく言うと、香港での滞在期間が連続する12ヶ月で183日以内で給与が全て日本法人から支払われていれば短期滞在者免税が適用できます。
183日のカウントの仕方
12ヶ月の期間については租税条約によって多少異なります。日本香港の租税協定では「連続する12ヶ月で183日以内」となっていますが、「一暦年で183日以内」、「一課税年度で183日以内」という租税条約もあります。国によって異なりますので注意が必要です。
日数のカウントは「物理的に滞在した日数」でカウントします。香港滞在が数時間であっても1日でカウントします。香港で勤務をした日数ではありません。
例えば下記のように夜に香港に到着して、翌日1日仕事をして翌々日の朝に香港を出発した場合は3日でカウントします。
取締役について
取締役の報酬には短期滞在者免税は適用できません。
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