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企業グループ内役務提供の対価

更新日:2022年1月21日

 企業グループ内役務提供(Intra Group Service 以下 IGS)とは、例えば日本親会社と国外子会社との間で行われる役務提供のことです。IGSに対しては対価を支払う必要があります。下記ではIGSのうち低付加価値IGSについてご説明します。

日本親会社が海外子会社に役務を提供しているケースを想定します。

  1. IGSとはどのような業務か

  2. 低付加価値IGSとは

  3. 低付加価値IGSの対価

  4. 文書化


1. IGSとはどのような業務があるのか


イ 企画又は調整

ロ 予算の管理又は税務上の助言

ハ 会計、監査、税務又は法務

ニ 債権又は債務の管理又は処理

ホ 情報通信システムの運用、保守又は管理

ヘ キャッシュ・フロー又は支払能力の管理

ト 資金の運用または調達

チ 利子率又は外国為替レートに係るリスク管理

リ 製造、購買、販売、物流又はマーケティングに係る支援

ヌ 雇用、教育その他の従業員の管理に関する事務

ル 広告宣伝


上記の活動(イ〜ル)が以下の2つのどちらかに該当する場合、その活動はIGS(企業グループ内役務提供)と判断できます。

・日本親会社が当該活動を行わなかったとした場合に、子会社が自らその活動を行う必要があると認められる場合

・又は、子会社と同様の状況にあるグループ外の会社が他の会社から同様のサービスを受けた場合に対価を支払う場合


ただし、子会社が自社のために行っている活動と重複している役務提供や親会社が株主として提供する役務はIGSに該当しません(事務運営指針3-10(2)(3))



2. 低付加価値IGSとは


IGSのうち次の条件を全て満たすものは低付加価値IGSに該当します(事務運営指針3-11(1))。


イ IGSが支援的な性質のものであり、グループの中核的事業活動に直接関連しないこと。

ロ 無形資産を使用していないこと。

ハ IGSを提供する法人が、重要なリスクの引受け、管理又は創出を行っていないこと。

ニ IGSの内容が次に掲げる業務のいずれにも該当しないこと。

  • 研究開発

  • 製造、販売、原材料の購入、物流又はマーケティング

  • 金融、保険又は再保険

  • 天然資源の採掘、探査又は加工

ホ IGSと同種の内容の役務提供が非関連者との間で行われていないこと。



3. 低付加価値IGSの対価


低付加価値IGSは以下の計算で算定した金額を独立企業間価格とすることができます。

総原価 X 105% = 独立企業間価格



4. 文書化


低付加価値IGSは以下の文書化が必要です(事務運営指針3-11(1)ト)。


(イ) 当該役務提供を行った者及び受けた者の名称及び所在地を記載した書類

(ロ) 当該役務提供が3-11(1)のイからヘまでに掲げる要件(低付加価値IGSとしての要件)の全てを満たしていることを確認できる書類

(ハ) それぞれの役務提供の内容を説明した書類

(ニ) 当該法人が実際に当該役務提供を行ったこと又は当該役務提供を受けたことを確認できる書類

(ホ) 総原価の額の配分に当たって用いた方法の内容及び当該方法を用いることが合理的であると判断した理由を説明した書類

(ヘ) 当該役務提供に係る契約書又は契約の内容を記載した書類

(ト) 当該役務提供において当該法人が受ける対価の額又は当該国外関連者に支払う対価の額の明細及び計算過程を記載した書類


<参考>

移転価格税制の適用に当たっての参考事例集 の事例26(企業グループ内役務提供)

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