top of page

お勧めしないタックスヘイブン対策税制対策

更新日:2021年10月27日

 香港は法人税率が16.5%(課税所得2百万香港ドルまでは8.25%)ですので、香港に会社を作る際にはタックスヘイブン対策税制についてよく検討する必要があります。今回は私が見かけたお勧めしないタックスヘイブン対策税制対策をご紹介します。

<例>

 日本居住者Aさんは香港に会社を設立することにしました。香港の会社はオフィスを構える予定はなく、登記住所は会計事務所から借りることにしました。会社のビジネスは日本にいるAさんがコントロールします。

 この香港の会社はペーパーカンパニーに該当しますので、Aさんが香港の会社に100%出資をするとタックスヘイブン対策税制を適用されてしまいます。そうすると香港の会社の利益はAさんの雑所得として日本で課税されます。

 そこでAさんは知り合いの香港居住者Bさんに香港の会社の株式の50%を所有してもらうことにしました。Bさんの所有する株式については配当の請求権を制限します。香港の会社の配当の100%はAさんが受け取ることになります。そして株主になってくれたBさんには手数料を払うことにしました。


 香港の会社の発行済株式の50%超を日本居住者であるAさんが保有しているわけではありませんので、タックスヘイブン対策税制は適用されないとAさんは考えています。


<結論>

 上記の例では、タックスヘイブン対策税制が適用されます。


 タックスヘイブン対策税制は、内国法人等(日本法人や日本居住者)が外国関係会社の株式等の10%以上を直接及び間接保有している場合、または実質的に支配している場合に適用されます。

 この外国関係会社とは内国法人等が①発行済株式、②議決権、③(配当等の)請求権のいずれかを50%超保有している会社、または実質的に支配している会社です。


 上記の例では発行済株式の保有割合は50%を超えていませんが、配当の請求権の100%が日本居住者のAさんにあります。そのため、香港の会社は外国関係会社に該当することになります。

 香港の会社はペーパーカンパニーですので、特定外国関係会社に該当し香港の会社の利益(課税所得)はAさんの雑所得として課税されます。


 香港法人の発行済株式の50%を日本非居住者に保有してもらい、種類株式等を利用して配当の請求権は実質の会社のオーナーである日本居住者が100%保有するというやり方では、タックスヘイブン対策税制対策にはなりません。お勧めできない方法になります。


 同じようなやり方になりますが、こちら (お勧めしないタックスヘイブン対策税制対策2) もお勧めできない方法です。

Comments


bottom of page