タックスヘイブン対策税制の適用を避けるために、色々と工夫される会社は多いかと思いますが、ここではあまりお勧めしない対策をご紹介します。
以前にご紹介した「お勧めしないタックスヘイブン対策税制対策 」と同じような設定でご説明します。
<例>
日本居住者Aさんは香港に会社を設立することにしました。香港の会社はオフィスを構える予定はなく、登記住所は会計事務所から借りることにしました。会社のビジネスは日本にいるAさんがコントロールします。
この香港の会社はペーパーカンパニーに該当しますので、Aさんが香港の会社に100%出資をするとタックスヘイブン対策税制を適用されてしまいます。そうすると香港の会社の利益はAさんの雑所得として日本で課税されます。
そこでAさんは会計事務所からノミニー株主のサービス受けることにしました。ノミニー株主とは名義貸の株主です。第三者の名義で株主登記しますが、株主としての権利は実質の株主に帰属します。登記簿に記載される株主はノミニー株主になります。
ノミニー株主は香港居住者ですので、Aさんの香港の会社の登記簿上の株主は香港居住者になります。Aさんはタックスヘイブン対策税制は適用されないと考えています。
<結論>
上記の例では、タックスヘイブン対策税制が適用されます。
タックスヘイブン対策税制は、内国法人等(日本法人や日本居住者)が外国関係会社の株式等の10%以上を直接及び間接保有している場合、または実質的に支配している場合に適用されます。
この外国関係会社とは内国法人等が①発行済株式、②議決権、③(配当等の)請求権のいずれかを50%超保有している会社、または実質的に支配している会社です。
上記の例では登記簿上の株主は香港居住者ですが、この株主はノミニー株主で株主の権利は実質の株主であるAさんに帰属しています。日本居住者であるAさんが配当の請求権、議決権等の株主としての権利を100%保有しており、実質的に香港の会社を支配しています。そのため、香港の会社は外国関係会社に該当することになります。
そして、香港の会社はペーパーカンパニーですので、特定外国関係会社に該当し香港の会社の利益(課税所得)はAさんの雑所得として課税されます。
ノミニー株主のサービスを利用して香港法人の株主を登記上、香港居住者とするというやり方ではタックスヘイブン対策税制対策にはなりません。お勧めできない方法になります。
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