外国関係会社のうちペーパーカンパニー等は特定外国関係会社になります。特定外国関係会社で租税負担割合が30%未満の会社は会社単位の合算課税です。つまり香港やシンガポールにある子会社がペーパーカンパニーであれば原則、会社単位の合算課税になります。
赤い四角の部分が今回説明するところです。海外法人が外国関係会社に該当し、かつ租税負担割合が30%未満の場合に海外法人が特定外国関係会社かどうか検討します。
特定外国関係会社とは
特定外国関係会社とは、外国関係会社のうち以下のいずれかに該当する会社です。
・ペーパーカンパニー
・事実上のキャッシュボックス、
・ブラックリスト国所在会社
ペーパーカンパニー
ペーパーカンパニーとは活動の実体がない外国関係会社です。
具体的には以下のいずれにも該当しない外国関係会社がペーパーカンパニーになります。
(1) 実体基準
その主たる事業を行うに必要と認められる事業所、店舗、工場その他の固定施設を有している
(2) 管理支配基準 その本店または主たる事務所の所在する国または地域(本店所在地国)においてその事業の管理、支配及等を自ら行っている
事実上のキャッシュボックス
事実上のキャッシュボックスとは総資産に対して「受動的所得」の占める割合が高い外国関係会社のことです。
以下のいずれにも該当する外国関係会社がキャッシュボックスになります。
(1)総資産の額に対する一定の受動的所得の割合が30%を超えること
(2)総資産の額に対する一定の資産の額の割合が50%超を超えること
一定の受動的所得とは、配当、利子、有価証券貸付対価、有価証券譲渡損益、デリバティブ取引損益等です。持株割合が25%以上の会社からの配当等は除いて計算します。
一定の資産とは有価証券・貸付金・貸付け用の有形固定資産及び無形資産等のことです。受動的所得の源泉となる資産です。
ブラックリスト国所在会社
租税に関する情報の交換に関する国際的な取組への協力が著しく不十分な国・地域として財務大臣が指定する国・地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社
まとめ
特定外国関係会社かつ租税負担割合が30%未満であった場合、会社単位の合算課税となります。
特定外国関係会社に該当せず、かつ租税負担割合が20%以上であればタックスヘイブン対策税制の適用はありません。20%未満であれば経済活動基準に沿って判定します。
次回は経済活動基準についてご説明します。
Comments