香港法人を閉鎖する方法には3つあります。1) 登記抹消、2) 株主による任意清算、3) 債権者による任意清算です。裁判所による清算もありますが、これは会社が任意 (Voluntary) で進めるものではありません。今回は株主による任意清算 (Members' Voluntary Liquidation) の手順についてご説明したいと思います。
株主による任意清算の前提条件
次の2つが前提条件になります。a) 株主の少なくとも 75% が清算に同意すること、b) 会社に支払い能力があり、すべての負債を全額返済できる
株主による任意清算の手順
株主による任意清算は大きく下記のような流れになります。
この一連の作業の中で会社がコントロールできないが10の赤い吹き出しにある「タックスクリアランスの発行」の部分になります。IRDから発行されるレターなのですが、これが発行されないと最終の株主総会は開催できません。
また、清算をスムーズに進めるため (かつ費用を安く抑えるため) には、最終の監査に入る前にできるだけ資産・負債を整理しておくことをお勧めします。清算人の作業が増えるほど清算にかかるコストは増えます。
清算を開始してから9ヶ月から1年くらいで清算が完了すると考えておいてください。期間はタックスクリアランスがどのくらいで発行されるかによって変わります。
順を追って簡単にご説明します。
最終の決算日
決算日までにできるだけ資産・負債を整理しておいてください。オフィスの解約、人員の整理、発生が見込まれる費用も払っておきます。
最終の監査・税務申告
監査人に今後のスケジュールを伝えておきます。
取締役会開催
株主総会の招集と支払能力証明書 (Form NW1) の承認をします。株主が一名であれば取締役会と同じ日に株主総会を開催可能です。
支払能力証明書で、取締役は会社の状況を十分に調査した結果、会社は清算開始後12ヶ月以内に債務を全額支払うことができる(すなわち支払能力がある)という意見を述べます。証明書に記載される資産負債明細書は、会社の入手可能な最新の財務諸表に基づいている必要があります。
支払能力証明書 (Form NW1) を会社登記局へ提出
株主総会(特別決議日が清算開始日となる)
清算人の任命、清算開始を承認(特別決議)
支払能力証明書の発行日から5週間以内に株主総会を開催
株主総会の遅くとも14日前までに株主に通知
清算人の任命通知書 (Form NW3) を会社登記局へ提出
清算決議のコピーと任命通知書を会社登記局に提出
官報に公告(清算人の任命)
清算決議の通知と清算人の任命を株主総会から15日以内に官報に公告
清算人による清算報告書の作成と残余財産の分配
官報に公告(総会の通知)
最終の株主総会の1ヶ月前までに官報に公告
最終の株主総会
最終の株主総会はタックスクリアランス発行後に開催可能
最終の株主総会開催日から7日以内に総会議事録と清算報告書を会社登記局へ提出
清算完了通知 (Form NW5) を会社登記局へ提出
最終株主総会議事録と清算報告書の会社登記局への提出日から3ヶ月経過で清算完了
債権者による任意清算は会社が債務超過の場合 (支払能力がない場合) に選択する方法になります。
香港法人の閉鎖を検討されている会社は是非一度ご相談ください。
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