損金と費用は異なるものです。この二つの違いを理解して使い分けるようにしましょう。
費用は会計の概念です。損金は税務の概念になります。
会計の利益の計算は下記のようになります。
収益ー費用=利益
税務では下記のようになります。
益金ー損金=所得
利益と所得は一致することもありますが通常は一致しません。
「損金不算入」「損金にならない」というのは、会計上は費用として計上されているが税務上は損金にならないという状態を指します。
簡単な例で会計と税務の違いを確認してみましょう。下記は香港法人を例にしていますので香港の税法に基づいています。
香港法人Aが第n期に下記の取引がありました。
・子会社Bを売却して売却損1,000を費用として計上しました。
・子会社Cから配当1,300を受け取りました。
・コンサルティング収入500がありました。
香港法人Aの会計上の利益の計算はこのようになります。
コンサルティング収入と受取配当金が収益でそこから子会社売却損を差し引いて利益は800になりました。
こちらは税務上の計算です。
コンサルティング収入が益金として計上されるのみです。所得は500です。
会計上800の利益がありますが、税務上所得は500です。
違いの理由は受取配当金は益金不算入、子会社売却損は損金不算入だからです。
実務ではこのように会計上の利益を調整して所得を計算をします。
監査が終わった時に監査報告書と一緒に税金計算書(Tax computation)を受け取ると思いますが、この税務調整の部分が税金計算書に記載してあります。
税金は所得に税率(16.5% / 8.25%)を乗じて算定します。
ちなみに損金にできることを英語ではTax deductibleと言い、下記のように使います。
Expenses that are incurred for producing profits chargeable to tax and that are not capital in nature are generally tax deductible.
課税対象となる利益を生み出すために発生した費用で、資本的性質を持たないものは、一般的に損金になります。
また、所得はTaxable incomeです。
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